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スポーツフィールド 矢野史也さん

コラム:健康快適生活塾
(株)スポーツフィールド 矢野史也さん

第11回: 機能的ストレッチについて(2005/6/7)
 
 カラダの柔軟性を向上させる方法として「筋肉を無理なく伸ばし静止するというストレッチ」が一般的になっています。この静止ポーズを維持するストレッチ(スタティックストレッチ)は筋肉の静的・受動的柔軟性を改善したり、運動後の疲労回復には確かに効果的です。しかし、このような柔軟性は、身体動作機能向上のための必要条件ではありますが、十分条件とはいえません。

機能的柔軟性
 図をご覧下さい。直立して片足を上に上げています。このときに必要な柔軟性は腿の裏側の筋肉です。この筋肉が軟らかい人は、足を誰かに持ち上げてもらえば(あるいは足を高い台に乗せれば)高く上げることができます。これを他動的可動域といいます。一方、自分自身で足を持ち上げる時は、腿の裏側の筋肉が軟らかいことにプラスして腿の前側の筋肉を緊張させ、重たい足を持ち上げなければなりません。従って、腿の前側の充分な筋力がなければ、思うように足を持ち上げることができません。このように自分の筋力を使って動かせる可動域を自動的可動域といいます。これは、自分の関節可動域内で自分の筋力を駆使して動作コントロールができる範囲を表しています。この自動的可動域が広いことが、動作性の優れたカラダづくりには不可欠です。従って、日常の身体動作機能やスポーツ動作向上のためには、この自動的可動域=機能的柔軟性を改善させる必要があります。
スポーツ障害と関節可動域
 他動的可動域と自動的可動域の差が大きいほどスポーツ動作中の障害件数が増えるという報告があります。つまり、自分の関節可動域の中に自分の筋力でコントロールできない可動域が大きく存在すると怪我をしやすくなることを意味しています。カラダは軟らかいが筋力が不足しているという人はスポーツ中の怪我を予防するためには筋力向上が必要ということになります。
筋力と柔軟性は表裏一体の関係
 腕を曲げる筋肉に対して、腕を伸ばす筋肉が存在するように、一つの筋肉に対して正反対の働きをする筋肉が存在します。これを拮抗筋といいます。
 例えば、上体起こしの腹筋を行うときは、拮抗筋の背筋は伸ばされます。この時、背筋が硬ければ、腹筋を使ってカラダを折り曲げる動作にブレーキがかかることになるのでスムースな動作ができません。また、背筋が軟らかくても、腹筋力がなければやはり動作はうまくできないことになります。この例からも効率の良い身体動作のためには、筋力と柔軟性を併せ持つことが大切であることが分かります。
筋硬化すると裏の筋肉は弱くなる
 カラダのある部分の筋肉が硬くなると、その反対側にある拮抗筋は脆弱化する傾向があります。裏表の筋肉のバランスが崩れると骨格にも歪が生じ姿勢をも変形させることになります。例えば、腰背部が硬くなり、その拮抗筋である腹筋が脆弱化するというケースがよくあります。このような筋バランスでは骨盤の前傾が強くなり、反り腰をつくり、腰痛が起こりやすくなります。対応法としては、腹筋の強化と背筋のストレッチを交互に行う方法が効果的です。
ダイナミックストレッチ
 自動的可動域=機能的柔軟性を向上させるためには筋力を強くすることが重要であることをお話しましたが、ストレッチでも、静止ポーズを維持するスタティックストレッチ(静的・受動的ストレッチ)ばかりではなく、動的・能動的ストレッチを積極的に取り入れると効果的です。具体的にはラジオ体操やサッカーのブラジル体操のようなダイナミックなストレッチです。筋肉を緊張させ拮抗筋を伸展させるので自動的可動域が広がります。

「たかがラジオ体操と侮るなかれ!」ですね。

  

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